事業承継について -中小企業経営の事業承継に関する実態調査研究結果から-

 本社の近くに「二十二代庄之助最中」という歴史を感じさせる和菓子店があります。取引先の会社などへご挨拶に伺う時に手土産として、庄之助最中を持参することがあります。このお店の謂れは割愛しますが、二十二代という商標から取引先の会社が代々続きますようにとの縁起を担いで、この最中を持参することにしています。
 言わずもがな当社も代々、未来永劫に亘って、日本の、そして世界の課題解決に力を発揮する会社へと成長し続けることを願っております。企業活動を通じて、皆さんの技術力、人間力が磨かれ、立派な企業人、尊敬される社会人へと成長できるような企業文化、経営哲学を持つ会社として存在し続けて欲しいと心より願っております。  会社はまさに社会の公器、すなわち社会的な存在として様々な機能と役割を持っていますので、国としても事業承継が円滑に行われるよう法律の整備や様々な施策を実施しております。
 当社における事業承継、経営承継が円滑に行われるために本格的に準備を進める必要がありますが、ここでは副題の事業承継に関する実態調査研究レポートの要点を記すことにします。
 多くの社員の方々が志をもって人間力を養い、リーダシップや経営能力などを磨き、次代、次々代、そしてその次へと経営を引き継いで戴きたいと願っております。多くの方々が経営幹部を目指して、経営に参画し、磐石な経営体制を築き上げて戴くことを強く希望しています。  以下の調査レポートの要点を是非、参考にして下さい。

数千社におよぶ中小企業経営者に対する調査研究結果から見えてくるもの

 アタックスグループ(経営コンサルティングファーム)が法政大学大学院中小企業経営革新研究所と共同で行った大都市圏に立地する数千社の中堅・中小企業の後継者問題に関する実態調査結果の要点を列挙します。非常に興味深い内容です。

どのような人を後継者に選んだか〔複数回答〕

①企業理念が継承できる(43%)
②経営意欲が旺盛(33%)
③経営能力が高い(29%)
④人間力・人格が優れている(同29%)
⑤従業員の信頼が厚い
 思いの強い人が相応しい後継者であり、高収益企業にできる、との補足説明もありました。

◎後継者教育をどのようにしていくのが良いか〔複数回答〕

①段階的な権限委譲(68%)
②自社内での多様な業務経験(58%)
③社長の志・思いを機会あるごとに伝える(37%)
④後継者自身に考えさせる(29%)

◎後継者にとりわけ求められる具体的経営能力〔複数回答〕

①リーダシップ(84%)
②戦略的発想力(57%)
③事業に対する責任(51%)
④意志決定力(46%)
⑤コミュニケーション力(29%)⑥リスク管理能力(29%)

◎後継者へのバトンタッチを成功させるためのポイント〔複数回答〕

①後継者が明確な経営理念・戦略を持つ(74%)
②社内・社外の人間とよく交流を持つ(58%)
③基幹業務の段階的な権限委譲(48%)
④後継者に事業承継に強い意欲を持たせる(46%)
 さらに「後継者が謙虚な振る舞いをするようにさせる」が続く

◎後継者の育成にかける期間

①5~9年(38%)
②3~4年(29%)
③10~14年(15%)
「調査レポート」のまとめ・提言の中にも重要な記述がありましたので併せて引用します。

◎企業の社会的使命について

企業の社会的使命とは、まず第一に従業員とその家族の幸福を実現することである。企業経営者は常にこのことに心し、経営に専念することが求められている。
 従業員とその家族の幸福の実現を図る上で最も重要なことは、経営を継続させることである。倒産や廃業は社員やその家族を路頭に迷わせ、不幸にしてしまうからである。業績を高めることは、「経営を継続させる」という大目的を実現させるための手段と言っても過言ではない。
 それゆえ経営者は決断に当っては、「どう決断することが、会社継続にとって良いのか」という視点に立脚すべきである。

②経営者の最大の使命は後継者を育てること  経営者が果たす役割は多岐に亘るが、最大の職務は「人財」、とりわけ後継者を発掘し、育てることである。良き後継者がいなければ、企業はジリ貧あるいは廃業を余儀なくされるからである。
 自分達の会社を自分達でどのように造り上げ、どのような良い会社にしたいかを社員全員が考え、積極的に経営に参画し、志と意欲を高めて戴きたいと思っています。上記のことを参考にして、多くの方々が経営幹部を目指して精進して下さることを希望しています。

2009年4月