志は気の帥なり 【孟子】

 志=思想精神が確立されていると、気=人間の体内に満ちてくる元気、気力が体の外に出てきて、正しい方向へ導く役目を果たす、と孟子は説いています。
 孟子とは、言うまでもなく紀元前300年頃の中国・戦国時代の儒学者で、性善説を主張し、仁義の政治を目指した人のことです。弱肉強食の論理が優先される戦国時代にあって、有徳の政治を勧め、「天の時・地の利・人の和」を説き、中でも「人の和」を最高の価値あるものと位置付けています。
 「人の和」とは、当社が希求する「連帯感」に通ずるものがありますね。

 さて、本題に入りますが、タイトルに掲げた冒頭のことば、志とは今風の表現では目標、夢、ビジョンのことですが、儒教思想の世界ではより高次の精神作用を指しています。志とは単なる目標達成機能ではなく、新しい価値を形成する目標創造能力を意味するのです。より高い価値ある目的を創り出すエネルギーを指すことになるのです。
 私も志ほど大事なものはないと思っています。どういう人間になりたいのか、どういう会社を作りたいのかという志がすべてを決めるのであって、やる気や気力、気骨、元気などの力はそこから生まれてくるのです。ある人が言っています。“「ローソクは火が点いてはじめて明るくなり、その目的を達する。それと同じで、人間も志に火が点けられてはじめてその人の真価が現れる」、だから孟子の指摘は深いと思う”と。
 皆さん、業務において、そして私生活において元気で頑張っていますか。時には失敗したり、思うように行かなくて元気をなくしたり、挫折を感じたりすることもあるでしょう。しかし、思い出して下さい。
「人生は倒れることが失敗ではなくて、起き上がってこないことが失敗なんだ」、との桑田真澄元メジャーリーガーの力ある言葉を。  皆さん! 一人ひとり業務においても私生活においても志を抱き、それをさらに膨らませて多くのことを成し遂げて下さい。  

 当社の行動目標として、“高い志と品格をもった企業を目指す”ことを掲げています。
 まず私の志である経営哲学をお話しましょう。最近作成した会社パンフレットのご挨拶文の中で、“企業経営の目的は、『お客様および社会から有用だと認めて戴けるような仕事をすること』と、業務実践を通じて『人を育てること、社員が立派な企業人として成長する環境を提供し続けること』だと宣言しております。皆さんが業務を通じて”磨かれ、鍛錬され、志を育み、立派な企業人・社会人へと成長して戴きたいと心から願っております。会社は5年半で230名の陣容を擁するまでになり、社員の皆さんも立派に成長され、お客様との信頼関係を構築することができました。これまでの実績と経験をさらに発展させ、色々な可能性を目指してチャレンジすることができるようになりました。
 会社のグランド・デザインを皆さんと一緒に描き、共に汗をかき、大きく成長させたいと願っています。時には羅針盤の役割を果たしてくれるかも知れない「志は気の帥なり」の言葉を思い、社会貢献型の堂々たる経営を続けたいと考えております。21世紀を通じて日本と世界が直面する課題解決に貢献できる企業へと成長したいと考えております。遠大な構想で、私が生きている間には達成できないと思いますが、夢の実現に向けて一歩一歩前進していきましょう。

2008年11月