“社会の公器”たるミッションを果たし、安定雇用を守り 堂々たる経営を進める

 改めて『会社COMPANY』の意味を紐解いてみたいと思います。ラテン語『COMPANY』の語源は、『COM(共に)、PANIS(パンをたべる)、Y(仲間)』を意味しています。昔から言い習わされている“同じ釜の飯を食う”という意味にも通じています。会社の基本的な姿は、経営目標を共有し、各々が役割に応じて働き、良い成果を挙げて仲間と分ち合うということです。そして仲間を信頼し、協調し合って自分たちの会社を成長させようとの求心力が高まれば最高です。帰属して良かったと誇りを持てる会社を皆さんと一緒に作り上げて参りたいと思います。

 しかし、世の中はざわついています。少し前のことですが、日本を代表する企業の重鎮が相次いで、『終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた』『一生雇い続ける保証書があるわけではない』『終身雇用制度は“制度疲労”を起こしている可能性がある』などと安定雇用を揺るがすような発言が続いています。そしてつい先ごろ突然飛び出したのが『45歳定年制』です。45歳といえば教育やライフプランの形成上、非常に重要な時期です。45歳ニートが大量に生産されるだけじゃないの? と不安視する見方と、キャリアを積んで新たな分野で活躍する節目にする、と前向きにとらえる意見もあります。

 また、働き方改革と称して週休3日、4日制を導入する銀行なども出ていますが、賃金の支出を抑制したいという思惑などが複雑に入り混じっています。

 以上のような発言や動きは長期的な安定雇用が困難な状況にあることを物語っており、雇用の流動化によって日本経済の活性化を図りたい、あるいは若い時から勉強を惜しまず緊張感をもって働いて欲しい等、様々な意図も含まれています。

 民間企業の動きとは逆に政府は企業に対して、「65歳までの雇用延長を義務化し、さらに70歳までの雇用延長」によって年金の支給開始を遅らせたいと考えています。厳しい財政事情から、政府が本来保証すべき社会保障の一部(社会保険など)を民間企業に負担させています。法人税の納付や社員の税の代行徴収など、様々な社会的機能を企業に担わせており、『社会の公器』としての企業の存在意義は大きくなっています。

 前述の2つの流れは、それぞれが非常に厳しい時代状況にあることを物語っています。雇用のあり方についても深く考えさせられます。「必要な時に必要なだけ労働力を確保」するやり方はやがて非正規労働者の増加に繋がらないか不安になりませんか。それは、『会社は何のために存在するのか』と言う会社の存在意義にかかわり、経営思想の選択が問われる問題だと思います。 根底となる考え方として経済合理性に重きを置く経営か、“社員の幸せ実現”を経営目標に据えて社員と一体となって強い経営を目指すかの違いになるのではないでしょうか。

 当社は“同じ釜の飯を食う”社員の皆さんとご家族の生活を守ることを基本に置き、ブレない経営を貫いて参りました。例えば13年前の9月に発生したリーマンショック、あわや経済恐慌の始まりかと世界中の政府、企業が危機感をもってあらゆる対策を総動員しましたが、世界中に大きな傷跡を残しました。当社も受注減少、作業量不足に見舞われましたが、一致団結、社員の雇用を守り抜きました。それらの経験が社員の皆さんとの信頼感を深めることに繋がり、その後の経営拡大のエネルギーとなっていると信じています。

 これからも人に優しい経営、社員の幸せを重視した経営を、皆さんと一緒に実践していきたいと思います。“帰属意識、求心力”という最も大切な強みを誇りとし、社員の皆さんと会社の“ウィン・ウィン”の関係を強めて参りましょう。

 そのために大事なことをいくつか確認しておきたいと思います。第一に社員一人一人が“長期雇用に安住”することなく、時代の変化に対応した最新技術の習得や自己革新に努めていただくことが最重要です。仮に年齢を重ねて行動スピードが落ちたとしても、経験による予見能力と判断能力を磨き、トータルの能力を高め続ける努力が必要です。もちろん、年功序列は排除されて、能力や成果に応じた公平な評価が基本です。

 会社は常にイノベーションを実行し成長を続けていかなければなりません。今年4月の会社総会で掲げた経営戦略『需要の源流を目指す』を旗印にして“マーケット・クリエーション”を実践する気概をもって、高みを目指して前進していきましょう。東京証券取引所・東京プロマーケットへの上場を実現し、一段と信頼される会社になりましょう。技術者として企業人として成果を挙げ、立派な存在になりましょう。

 時代背景は厳しい方向にあると思いますが、厳しさの中で会社も組織としての学習があり、強くなるのです。人も仕事を通じて鍛えられ、成長するのです。現在を生きるということは現在の状況を受入れて、ここから何ができるか? 現状肯定からスタートすることが肝要です。その状況の中で“どうすれば前進できるか、どうすれば解決できるか”という考えに立った時に希望の光が見えてきます。“解決策は必ず見つかる!”というのが私の信念です。皆さんもそのように考えられることをお勧めします。

 努力は自分を裏切ることはありません。努力は必ず報われます。努力と苦労の先に達成感と充実感があります。間違いなく人生は楽しいです。人生はいいものです。皆さんの人生が豊かなものとなりますよう応援し続けます。

 帰属することに誇りと安心感の持てる働楽グループを一緒に実現して参りましょう。雇用を守り、『社会の公器』としての役割を果たし、社会に貢献し続ける堂々たる経営を進めていきたいと思います。

(社内報より)

2021年10月