『情緒価値』が世の中を動かす ― 機能価値と情緒価値を掛け算して 大きな成果を生み出す ―
商品には二つの価値があります。例えばパソコンを選ぶとき、画面のサイズ、処理速度、メモリ量などの仕様を比較すると思いますが、これが機能価値と呼ばれるものです。最初に機能の良し悪しで商品を検討しますが、斬新かつ洗練されたデザインが好き、持っているだけでカッコいいなどの要素も商品選定の決め手になります。これが情緒価値と呼ばれるものです。
物が少ない時代には『良いもの』さえ作れば売れる『製品志向』が強かったのですが、だんだん豊かな時代になると顧客ニーズやウォンツに基づく『顧客志向』が叫ばれ、そしてこれからは単なるスペックだけでなく、斬新で洗練されたカッコいいとか、さらには「どういう理念で作られたのか?」とか「どう人や社会に貢献するのか?」という「理念重視」の時代に変わってきています。
普通の車の10倍以上もするフェラーリに乗る人は、移動手段としての車を超えて、カッコいいから、乗っているとテンションが上がる、ステータスの高さを示せるなどの感情的なメリットを手に入れたいからです。物やサービスに感情的なメリット、すなわち情緒価値を盛り込むことができれば単価をUPさせることができます。持ち味がスペックだけでは結局まねされてしまい、価格競争に巻き込まれてしまうことになります。したがって機能価値を磨き、情緒価値を掛け算することによって強い商品、選び続けられるサービスという地位を確保することができます。
当グループのオリジナル・サービスである訪問看護業務支援サービス『いきいき訪看』を例に挙げますと、クラウド技術によるサービスを他社に先駆けて提供したことによってお客様の業務を革新させ、効率化や負荷軽減効果が注目されて急速に受注を増やした初期、やがて他社の追随によって機能面で優れた類似サービスが出現し、当社もまた遅れじと機能拡充と操作性改善を行う、まさにデッドヒートを繰り広げています。営業と開発とお客様支援室の皆さんがニーズに寄り添ったサービスの提供に努めた結果、“業務を知り尽くした分かりやすい提案”“改善要望を汲み取ったサービスの開発”“丁寧で分かり易い説明をしてくれるお客様支援室”などの評判が組み合わさって『いきいきブランド』が確立できて来ているように思います。情緒価値が高まっているのではないでしょうか。まさに、機能価値と情緒価値を掛け算することによって競合に競り勝つことが出来ているのだと思います。ただし、慢心せずに努力を重ねていくことが肝要です。
私たちたちビジネスに携わる者にとって、情緒価値は人間関係作りに繋がると言われています。きちんとした身なり、礼儀正しさなどの基本に始まり、思いやりがあって温かい人柄、几帳面で正確な仕事ぶりなど好感を持たれることが良好な人間関係の構築に繋がります。業務能力という機能価値と情緒価値とを掛け算して、『物腰の柔らかい分析力ナンバーワンのエンジニア』『きめ細かい対応が売りの営業担当者』『ルール順守には厳しいが誰にも公平に接する上司』のように統合した言葉で表現できる人になると、人柄が相手に伝わりやすくなります。
また、“なりたい自分の姿”をイメージすると自分の努力の目標が明確になります。日々の努力が将来の“なりたい自分の姿”に近づいていることが実感できると自信が湧いて、幸せを感じることが出来ると思います。自分自身の業務能力・機能価値を高めて、好感を持たれるような情緒価値を磨き、二つを掛け算して、自信を持って厳しい時代を歩んでいきましょう。
(社内報より)