“電通『鬼十則』  広告の鬼  吉田秀雄からのメッセージ” ― 偉大なる創業者の足跡から学ぶ(2)  電通中興の祖 吉田秀雄 電通『鬼十則』

 電通『鬼十則』
仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない
仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない
大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己を小さくする
難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……
周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる
計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらない 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ
摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる

 当社のお客様の一つ 電通国際情報サービス様の親会社が電通です。今回は電通中興の祖と呼ばれる吉田秀雄(1903~1963年)のメッセージから学びたいと思います。
 吉田秀雄は、昭和22年先代社長の公職追放により、43歳という若さで急遽電通の社長に就任します。持ち前のバイタリティと時代を先取りする仕事振り、強烈なリーダシップにより電通を広告業界で圧倒的にトップ企業へ育て上げ、いまや世界最大の広告会社となっています。吉田が中興の祖と言われる所以です。
 吉田は、日本にマーケティングの概念が紹介されるや否や、「正確な市場分析、市場調査、それを基礎とする合理的な広告計画とサービスを持ってはじめて本格的な広告代理業が成り立つ」と、いち早く マーケティングを導入・実践することによって日本の広告業界を確立 しました。また、民間放送の創設を推進するなど戦後日本の新しい産業社会の形成にも人一倍の熱意を燃やし日々奔走しました。経済団体でも要職に就き、戦後の日本経済発展にも大きな足跡を残した人です。
 吉田の猛烈な働き振りゆえに、数々の伝説を残した”広告の鬼”は、半面、 人の心を魅了する緻密なビジネスマンでもあった 、とのことです。社員のために書いたビジネスの鉄則:電通 『鬼十則』 はあまりにも有名です。業種業態を越えてあらゆるビジネスにあてはまるものです。 “落ち込んだりすると必ず立ち返る一種の行動規範となっている” などの感想を述べられる方も多く、私たちに強く迫ってくるメッセージだと思います。

 先日、“私の経営のバイブルが『鬼十則』だ”と語られるエーワン精密(創業から38年間の平均経常利益率が35%という超優良企業)創業者の梅原勝彦氏のお話を伺う機会がありました。12歳から旋盤工として働き25歳で会社を設立し多くの難局を切り抜けてこられた梅原勝彦氏の経営体験もすごいものがありますが、『鬼十則』を紐解きながら語られる言葉を通して、改めて『鬼十則』に込められた吉田秀雄のビジネスや経営に対する情熱やメッセージの大きさに感動させられました。

 もう一度、素直な気持ちで電通『鬼十則』を読み返して下さい。

2011年7月