企業の社会的責任
豊栄企業という会社は、『社員は財産、減らすな増やせ』を社訓として掲げ、教育に力を入れ、社員の定着を図り、港湾運送事業で業績を伸ばしているそうです。当社の“人の可能性を信じ、チャンスを与え、社員の成長を願い”『活力と連帯感に満ちた強い会社にしたい』という思いと共通します。
企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)という言葉は広く使われており、当社もよき企業市民として社会的責任を果たしていかなければならないと思っています。経済産業省参事官兼国際経済紛争対策室長で独立行政法人経済産業研究所フェローを兼務されている藤井敏彦氏がCSRの根源的意味を次のように述べておられます。
“CSRとは欧州が政策的に作り出した革新的な考え方であり、その真ん中には社会の将来を担う人づくりがあるのです。欧州のCSRの原点ともいえる『ヨーロッパ産業界からの宣言』では、例えば社員の採用に当たって、高い技能や豊富な経験を持つものばかりを採用することは避けるべきだ、そのような採用は技能の未熟な者を罰するのに等しいと。環境対応、法令順守、社会貢献などが主流となっている日本でのCSRとは本来的意味が相当にずれています。”
“社会が世代を超えて発展していくために必要なことは、一人ひとりが仕事を通じて自らの能力を活かし、意味ある人生を送りながら次の世代を育てる、この循環が必要です。若者が自らの将来に希望を持てなければ社会は次第に活力を失っていくでしょう。”
“我々はもう一度CSRを考え直すべきではないでしょうか。人を育てることは企業には出来ること、それは社会から人材を預かる企業の社会的責任です。敬意をもって全社員を公正に扱い、教育訓練を施し、仕事を通じて成長する機会を与える必要があります。・・・社員に着目したCSRは必ずや企業の大きな力となってくれるはずです。やる気に満ち、使命感をもった社員以上の財産はないと私は考えています。”
経営のヒントと題したこの格調の高い文章を目にしたとき、CSRとは何と崇高なことかと感動を覚えました。自惚れるわけではありませんが、当社の経営コンセプトの一つとして、『社員を大事にする経営、社員の成長のエネルギーが会社成長の原動力である』を掲げていますが、CSRを前述のように捉えるなら、当社は設立当初からCSRの本質を実践している会社である、と言えるのではないでしょうか。
決して社員の皆さんに恩着せがましく言う積りはありませんが、当社には異業種から中途採用で入社された方、未経験からスタートされた方が沢山おられ、多くの方々がすばらしい技術を身に付けられ、モチベーションが高く、立派なビジネスマンに成長され、当社の中核社員として活躍して戴いていることを殊のほかうれしく思います。一生懸命に仕事をされている姿を見聞きすることは無上の喜びですし、このような会社を経営していてよかったー!といつも思っております。
最近面接でよく、“あなたは何のために働くのですか、働くことの意味をどのように考えていますか?”と聞くようにしています。応募者の方の労働観や価値観を確認することによって、人間的な深さや成長の可能性を確認するようにしています。自己中心的でなく、お客様・仲間・組織に配慮できる人、仕事を通じて自ら成長できる人を採用したいからです。その時点のスキルだけでなく潜在能力・成長余力を重視しているからです。
入社後も技術者として、ビジネスマンとして成長し続けて欲しいと願っていますので、取り組み姿勢や考え方が間違っている人には、ときに些細なことと思うことがあるかも知れませんが、妥協することなく注意をさせて戴いています。特に、自分中心的な発言・行動をする人、逃げる人、失敗の原因を他人の所為にする人・言い訳に終始する人などには厳しく接しています。組織が大きくなれば、これらが大きな不協和音として組織の和を乱しかねないからです。
当社は、公正・公平、信義・信頼、社会正義、社会貢献、節操・品格、誠実・感謝などに価値基準を置いております。堂々とした社員から成る堂々とした会社にしたいからです。皆さん一人ひとりが社会から尊敬を集める会社にしてゆきましょう!
一方で最近の技術者に対するニーズは即戦力・経験者という声が強く、未経験者に厳しい『ヨーロッパ産業界からの宣言』に逆行するような方向にあることを苦慮しています。当社のリーダの下や当社受託開発チームの中で経験の浅い人を育て、プロジェクトの増強・拡大を図れるような仕組みを確立したいと願っています。この仕組みが確立できれば当社の成長はより万全なものになります。私は何歳になろうとも若い人を育てる情熱は衰えませんし、何時も先頭に立つ用意はあります。昔未経験者・育ててもらって今は中堅の方々には、後輩を積極的に指導し、次の世代を育てることにご協力戴きたいと希って(こいねがって)います。このようにして社会から人材を預かる『企業の社会的責任』を果たして参りたいと思っております。それが安定的かつ持続的な成長に繋がると信じています。多くの社員の皆様のご理解とご協力をお願いします。