黒船の襲来への備えをせよ!! ― 垂直統合のビジネス・モデル終焉への対処 ―
NHKの大河ドラマ『竜馬伝』をご覧の方も多いと思います。ペリー提督率いる黒船の襲来に対して、日本国内は「開国か尊皇攘夷か、いや公武合体だ」と国論定まらず、一部の先鋭化する下級武士や浪人たちが暗殺行為に走る混沌とした時代背景の中で、世界を展望し自己の利害を超越した偉大なる調整マン、坂本竜馬等によって明治維新へと大きく体制転換し、その後の目覚しい成長の時代へと繋がっていったのです。
さて今、我々にとっての黒船とは何でしょうか。グローバル化とオフショア開発の進展による開発の海外流出、クラウド/SaaSへの移行による開発の長期的減退、マクロ的に見ると長期デフレや急速な少子・高齢化による需要の減少と需要構造の変化、そして環境・資源・食料問題など様々な黒船が迫り来ているのです。
もう一つの大きな黒船(問題)は、これまで長く続いてきた垂直統合のビジネス・モデルが終焉を迎えつつあると言うことです。大企業が大きなプロジェクトを受注し、その下で得意とする技術分野や開発工程の一部を傘下の企業が分担するやり方は、需要が増大する右肩上がりの時代には最適なモデルであったと言えます。逆に需要がやせ細り、大企業といえども必ずしも業務量を確保できない時代には傘下の企業を守れる状況になく、何時までも垂直統合のモデルに依存してばかりではいられません。今後ますます需要が多様化して参りますので、我々に適すニーズ分野を見極めて自らがビジネス創造出来るようにならなければなりません。
勿論、既存のビジネスに磨きを掛け伸ばす努力が重要です。加えて新分野参入へのチャレンジをしていかなければなりません。『今、国難が襲い掛かってきているのだ、係る黒船襲来に全員で立ち向って新しいビジネスの境地を確立しよう』、という議論が会社中に巻き起こることを期待しています。
既に2010年度予算の中に盛り込まれているPDA(Personal Digital Assistant)向けのアプリケーション開発、小規模IP電話システム開発、ネットビジネスなどもチャレンジしますし、これ以外のテーマ研究も社内で闊達に議論できるようにすることが、鬱積する状況を打破するために重要です。今年度に入り既に複数の新規顧客との取引開始が決定していますが、今後も顧客基盤の拡大を図り、新しい顧客との協業の中からもビジネスチャンスを見出したいと思います。
また、グローバル化をネガティブに捕らえてばかりでなく、以前から申し上げているアジア地域へITサービスの展開を具体化させ、アジアの成長を当社の成長の起爆剤にしていくと言う気概を持って戴きたいと願っています。
今の黒船は目には見えにくいですが、みんなで黒船の実体を見極め、対処すべき方策を確立して参りましょう。 大河ドラマでは「世界は広いぜよ」と竜馬に言わしめていますが、当社の竜馬は誰が演じてくれるのでしょうか、そしてどのようなスケールで発想し、行動してくれるのでしょうか。何人もの竜馬が現れても困ることはありません。シナリオはいくつでも書けます。
適者生存、黒船の襲来を感じ真剣に受け止め、変化のエネルギに変えられるもののみが生存を許されるのです。頑張りましょう。