広告販売管理システムの受託開発プロジェクト

テレビ、携帯電話、交通機関の中、駅の構内、またビルの看板に至るまで現代社会を象徴しているように世の中は広告で溢れている。私たち市民にとって大切な情報源である広告がどのように管理されているか、考えたことはないだろうか?
ITというと、銀行のシステムや電話網などをイメージする方が多いのではないかと思うが、この広告の分野でもITが活躍している。大手の広告代理店ともなると取り扱う広告量も膨大である。その販売管理システム開発をマネジメント・立澤、開発・赤澤がメインで担当するプロジェクトが開始した。

広告商品の多様さ

広告商品は、一般的に知られている以上にかなり種類が多い。立澤はまず広告商品を理解するところから始めた。

「わかりやすい例として、電車で説明すると、中吊りのほかにドアの上にあるものや、
車額、看板、看板も蛍光灯が中に入っているものなど多様です。
また、駅によって値段設定も異なり、そういった広告が半年おきなどで自動更新されていくわけです。 お得意様になると割引があったり。沢山の種類の割引率があるんですよ。

皆さんがよく目にする駅ポスターも、大きさがいろいろでB0とかB1とかが基準になっていて。 縦に貼るか横に貼るかでも貼れる枚数が変わり金額も変わりますが、そこも柔軟に対応されているんですね」。

膨らむ構想への対応で、現場は不夜城に

もともとはWindowsのファイルメーカーで簡単な売上システムを使用していたが、 使いやすい販売管理システムを開発して欲しい、とのことで今回の案件となった。
販売管理システムに求める機能が、担当部署によって要望・意見が異なっており、そのとりまとめには最も苦心した案件でもある。

立澤が簡単な概要と設計書を書いたところ、お客様の要望でどんどんと構想は膨らんでいった。 当初予定していたリリース予定日では盛り込め切れなくなり、2ヵ月伸ばして、さらに膨らみ過ぎた機能要望も整理をした。

「その2ヵ月が大変でしたね。リリース前の現場は不夜城でした」。

実際にテストを始めると、多々ある機能の中には動かないものもあった。 動くようになったものの、スピードが遅いなどもあり、改善のための打ち合わせも毎週行った。
立澤一人でスタートした案件は、最終的には18人もの大所帯となった。

“チームで開発をする”というのが立澤の持論である。
立澤はお客様との調整をしながらメンバーのフォローにも力を入れ、 18人ものチームの気持ちを一つにまとめて業務に取り組んだ。結果、業務の効率化にも成功した。

いったんリリースしてからやはりスピードが遅いという問題があったが、 それはお客様の事務所間の回線が遅いことも原因の1つと判明。 通常のソフト会社であればソフトだけしか対応しないが、IT働楽研究所はネットワークも対応できるので、 ネットワーク担当に協力してもらいお客様に改善案を提案した。

お客様の課題、どうシステムで解決するか

赤澤が策定した設計書は、広告代理店が獲得してきた仕事の受注管理システムだ。
受注情報を入れて、見積書発行、最終的には請求書の発行まで行える。 請求書を出すと経理側にデータが送られ、入金があった時点でどの案件か判別し消し込みが出来るように考えられている。
これまでお客様で問題となっていた「営業が入れた案件と入金のマッチングが出来ず、未回収金が膨らむ」これが解決出来る仕組みだ。

ところがこの「営業と経理を一つのシステムで繋ぐ」ことが大きな課題だった。
営業は月に約4,500の案件を獲得してくる。その案件について、これまでは各顧客ごとに形式の違う見積書を独自に作っていた。 請求書も同様で、実はお客様内で統一されたフォーマットがないということが、システム開発をしている中でわかってきたのだ。

「お客様の中に事業部が2つあり、1つはある看板を担当、もう1つはそれらの媒体を売る営業部門、そして経理。 それぞれ別のシステムで管理していた。
今回私達が作るシステムは、媒体、看板などを売る申込から経理まで一気通貫で、営業業務全体をカバー出来る。 営業の方がお客様から看板の申し込みをいただくと、媒体を管理する事業部に自動的に流れる。 連動する仕掛けがポイントです。経理としてはお金が売り掛けとして上がるので、月末などに入金されてくると 『確実に入ったね』と消し込みチェックをする必要があるが、そのリストが事前に上がるようになる。 そして『今月消し込みたいリストはどこでしょう』と画面に出るので、間違いも減らせる。
お客様の協力会社についても、外注の仕入れ登録も同じこのシステムで出来るようになっています」。

実際の開発にあたってみると、営業側、媒体側、経理側それぞれから「もっともっと使い勝手をあげてほしい」 との要望があがり、機能はどんどんと膨らんでいった。
お客様との折衝にあたっていた立澤は、お客様の要望変更や急な依頼への対応にかなり苦心した。 要望がどんどん変わる、追加される中、お客様に納得のゆく品質に仕上げるのは至難の業だ。 営業担当ごとに、言葉のニュアンスが違ったり仕事のやり方が違った。
最終的にお客様側の仕事の流れの整理、意見の統一をすすめながら、 立澤、赤澤は同時にシステムのバグ改修を行いながら開発を進めていった。

元々人間がやっていたことをシステムで行う際は、ルールを統一する必要がある。
お客様側で消費税の端数が、片方は切り上げで片方が切り捨てだったことで、 実際に計算してみると金額があわないなどの問題もあった。
また、営業の方は開発の打ち合わせにはほとんど同席がなかったため、詳細を把握していただけるよう丁寧に対応した。

それまで統一したシステムを使わずに各人の方法で実務をこなしてきた方からすると、実際にシステムが出来上がって触ってみると、 一元管理をするためのルールは窮屈に感じられたのではないかと思う。
しかし、一番の目的であった未収金を確実になくすという目的は達成され、 最終的にはお客様から「頼んで良かった」と言っていただくことが出来た。

誰もギブアップしなかった

お客様の問題をいかに解決してゆくか。

立澤はお客様の要望を引きだすために苦心し、二転三転する意見をとりまとめた。 赤澤もヒアリングに力を入れた。それでも聞き切れていない要望があった。
お客様側の「このシステムで何がしたい」という根本が、作っていくうちに変化してゆく中で、 言われた通りに作るだけでなく、「お客様がどういうことを求めていらっしゃるのか」 考えることが何よりも大切だという貴重な経験となった。

「お客様に怒られることも多く、厳しいプロジェクトではあったけれど」 全体の雰囲気は決して悪くなかったというのが立澤、赤澤の共通の印象だ。

「誰もギブアップせずやり遂げてくれた。うちのメンバー、みんなよくやってくれました」。