“しなやかに、そして したたかに強く今を生き抜く” ― グループ経営が目指すもの

 『4月1日をもって株式会社IT働楽研究所は、社歴29期目の伝統ある「株式会社富士ソフト技研」と同日誕生したばかりの「いきいきメディケアサポート株式会社」を加えた3社体制となりました。今後も色々な形で事業連携、企業連携が進む方向にあります。
 この度の富士ソフト技研との企業連携に当たっては“支配とか所有”といったケチな発想ではなく、『共生と共創』を理念に掲げ、『共生』の精神でそれぞれの事業会社の持ち味を最大限に発揮して事業を進め、足らざるところを補完・協力することによって発生する課題に対応し、シナジー効果を上げながら事業を共に創り上げていく『共創』を念頭に置きました。

 私はかねてから国内マーケットの縮小、激化する厳しい競争の中で中小企業が単独で生き延びるのは困難な状況にあると思っておりまして、自らの財務力を強化し、規模の拡大(従業員数、技術力、顧客基盤など)を図り、組織力の強化と経営の質を高めると同時に、協調し合える多くの仲間企業と事業連携することによってトータルとして大きな力を発揮していくメカニズムを創り上げる必要があると考えております。
 同様のことを大前研一氏が最近発行された雑誌の中で語っていました。『もう成長はない。景気もよくならない』、という大前提に立ち 『これからは自社の生き残り戦略を描くしかありません』と。中小企業が連携して設備やノウハウ、人財などを共有して大企業並みのバーチャルな仕組みを作り、競争力を高めれば良いとの考え方も提示されています。

 津波が襲うが如くに激しく、そして容赦ない強さとスピードをもって時代は大きく変化していくと思われますが、それに立向えるだけの対応策を次々と打って参ります。企業連携、事業連携もその一つです。
 形を整えることも重要ですが、魂を入れなければ本領発揮とはいきません。どのような時にどんな難題が襲ってくるか分かりませんが、第一義的には皆さん一人ひとりがそれぞれの立場で問題を察知し、各自の能力をフル動員して対処して戴く必要があります。スピードが命になることもありますので、時機を失することなく上長に報告・相談し、組織としての対応を仰ぐことも必要です。ビジネスの最前線にいる人もマネージメント的な仕事をする人も全員がベクトルを合わせ、そしてすべての組織が有機的に機能するようになっていなければなりません。しなやかに、そして時にはしたたかに執念を持って対応していかなければなりません。
 弱冠18歳で女流王位についた養護学校出身の石橋幸緒女流棋士の言葉を思い起します。『最も強い将棋は、すべての駒がそれぞれの役割に応じてフルに働く将棋である』と。これは組織論の本質に繋がっていると思います。社員全員が若きこの女流棋士のことばを理解して行動して欲しい。

 もう一つ頭に浮かぶのは桶狭間の戦いの故事である。ときは1560年、東海の雄、今川義元は3万の大軍を率いて尾張・織田信長を攻め落とし、やがて上洛して足利幕府にとって変わろうと尾張に進軍した。緒戦の勝利で気の緩んだ義元軍、休憩を終えようとした昼過、突然の豪雨が視界さえもさえぎり立ち往生していたところを、わずか3千の信長軍の不意打ちによって大敗を喫し、そこから歴史が大きく転換した有名な戦いである。
 IT働楽研究所グループはまだグループと言っても取るに足らない規模であり、今川義元の大軍の話を持ち出すことすら恐れ多いと思いますが、規模の拡大は戦線拡大=問題発生の増加に繋がり、弱点を突かれた時には耐力消耗を余儀なくされることさえあり得ると、いつも肝に銘じていなければなりません。今後も生き残りのために多面的な施策を打って参りますが、一方で経営効率を如何に高め、質の高い経営をするかを常に心掛けなければならないと思っています。
 私たちIT働楽研究所グループは浮かれることなく、全員がベクトルを合わせ、自分の立場や役割をしっかりと認識し、行動して戴くと同時に組織が有機的に連動していけば、これからの厳しい時代を強く生き抜くことができると信じています。

 しなやかに、そしてしたたかに執念を持って今を生き抜いて参りましょう。
2011年4月