社長の思い

『一日延ばしは時の盗人』(上田敏) ― 生産性を格段に高めるために

 「山のあなたの空遠く・・・」などの名訳詩集『海潮音』で有名な明治の文学者 上田敏は、『一日延ばしは時の盗人』“我も人も、時の盗人にならないよう注意しなければならない”と、時間の大切さを説き、一日一日を大切にするように強い調子で戒めています。
 ドラッカーも時間管理の重要性を述べています。「何の成果ももたらさない仕事が、時間の大半を奪っていく」。そして、「成果をあげる者は(個別の)仕事からスタートせず、時間(管理)からスタートする」と延べ、「時間の使い方は練習によって改善できる。だが、絶えず努力しない限り仕事に流される」と警告を与えてくれています。

 当社は発展途上の会社で、 色々な面での改革・改善が必要で、その一つとして生産性を格段に高めていく必要があります。 生産性を高める方法として、例えば ソフトウェア開発(SR部)では製造工程(コーディングやユニットテストなど)の効率を大幅に向上させると同時に、品質の向上、開発期間の短縮などを実現するために、ソースコード自動生成ツールの導入による最新の開発技法確立に取組んでいます。
 しかし、 投資ゼロで、これよりもっと生産性向上効果が大きく、誰もが実施すべきは“無駄時間の排除”です。新しい業務が与えられたケースを想定して、自己検証してみて下さい。
 すぐに検討に着手していますか、着手までに逡巡して無駄な時間は発生していませんか。
どのような手順で、どんな手段を用いて仕事を進め、どのようにして目標を達成しようとするのか、業務の全体の流れを頭に描いて進めていますか。ドキュメント化していますか。漫然と惰性で仕事を進めることがあってはなりません。これは海図なき航海をするのに等しい行為です。私は、仕事を着手する際にまず“仕事の進め方を設計せよ!”と比喩的に言っていますし、当社顧問税理士の近藤先生は“仕事の組立てをせよ!”とアドバイスされています。
 検討会やレビュー日程を設定するに当って、必要以上に延ばしてはいませんか? そして何か不都合があると、先延ばしする理由を挙げて引き延ばしてはいませんか。
 問題や課題に遭遇したとき、解決策を見出せずに悶々と、あるいはただ悩んでいるということはありませんか。自分の持てる知識・経験をフル動員して考える、調べる、試行してみるという能動的行為を行い、適切なときにリーダや上長に相談しアドバイスを受けていますか。
 間違った手法や誤った判断で突き進み、やり直しや手戻りで沢山の無駄時間を発生させてはいませんか。常に“本当にこれでよいのか、何故/どうしてこれで良いのか、もっと良い方法はないのか”と自己検証を行い、必要に応じ有識者を交えたレビューを実施し、やり直しという大きな無駄時間を極小化しなければなりません。
 上記の過程で発生する無駄は各人が技術力を磨き経験を重ねて実務能力を高めることにより改善すべき要素が多分にあり、リーダや上長が部下の力量を推し量り、タイムリーに的確な指導をすることによって減じるようにしなければならない部分もありますが、誰でもすぐに出来ることは、
 ①すぐに仕事に着手する
 ②取り掛かって最初になすべきは業務の進め方を組立て、時間配分をする=スケジュールを立てる(勿論、ドキュメント化する)
 ③先延ばしする理由だけを挙げたり、言い分けをするのではなく、予定を守る習慣を付ける(心配事がある=予見されたときには、検討・対策の時間を入れる、場合によって日程修正を行う)
 ④想定外の問題が発生してもあわてずにまず自分の全知全能をもって考え、悶々とした時間だけをすごすことなく上長に速やかに相談し、根本的な解決を図る
 ⑤必要と感じたとき、有識者を交えた検討会やレビューなどを実施し、やり直しや手戻りと言う大きな無駄時間を最小にする努力を重ねる必要があります。

 「時間の使い方は練習によって改善できる」とドラッカーが言っていますが、我々も努力し、習慣化していけば時間の使い方の達人になれると思います。上述したようなことを確実に実行して戴ければ、確実に当社の生産性は向上できると思います。
 『一日延ばしは時の盗人』という上田敏の戒めをしっかりと受け止め、日々の業務の効率化に励んで参りましょう。我々は、時間=コスト という意識を持たなければなりません。エーワン精密という会社は、短納期を実現するには「作るのが早いのではない、取りかかるのが早いのだ」と称して、受注から現場での製作開始までが約5分を実践して非常に高い収益を上げていると聞きます。コスト意識を持ち、生産性を高め、競合力強化を図ることが会社存続の一つの条件です。強い企業へと成長して参りましょう。

2010年10月